小麦粉の国産と国内製造は意味がまるで違う!国産小麦製品の見分け方

最近ちょっぴり食の安全に関心のある夫にこんなクイズを出してみました。

問題です。小麦粉(国内製造)と書いてあるこのパンの『小麦』はどこ産でしょうか?

国内製造なら…国産じゃない?
ブーーーーです。
正解は、「外国産・国産どちらかはわからない」でした。
でも、高い確率で外国産の小麦を使っています。
日本人の約3割以上が誤認しているというこの『国内製造』という表示。
これは「MADE IN JAPAN(製粉したのが日本)」なだけで、もととなる小麦は「原産国:日本」ではありません。
できれば国産を選びたい消費者やママにとっては、紛らわしいですよね。
どうしてこんな書き方するのでしょうか?
すべてを国産小麦で作られた商品を探すにはどうしたらよいのでしょうか?
小麦粉の国産と国内製造の違いは?

近年、消費者の安全・健康意識は高まり、ポストハーベストなどの観点から「輸入小麦は危険」という認識が広まっています。
消費者たちの国産小麦の需要が高まるのは喜ばしいことですが、それに対して国内生産量はとうてい追いつけません。

そのため日本国内の8割以上の小麦製品は、輸入の外国産小麦でまかなわれています
国内製造は国産とは限らない
国内製造とは、小麦粉に限らず「MADE IN JAPAN」なだけで、「原産国:日本」ではありません。
小麦粉なら、製粉したのが日本です。というだけなのです。
もっとつっこむと、『国内製造』と書かれた小麦の産地はこのどれかになります。
- 100%外国産小麦
- 外国産、国産が混じっている
- 100%国産小麦
輸入小麦かもしれないし、国産小麦を使っているかもしれないのです。

国産小麦だと思って安心して買ってたよ…ひどい!
そう!国産小麦だけで作ったなら企業にとってはアピールポイントになりますから、国産小麦ならもっとアピールしたいですよね。
なので国内製造とだけ書かれた小麦粉製品は、ほぼ外国産小麦を使っていると思っていいです。
なぜ国内製造という表示をするの?

なんでこんな紛らわしい書き方するの?
一見、だまされたように感じますよね。それはですね…
かんたんに言うと、小麦の粘り・膨らみやすさ・保水力などは、品種が同じでも産地や年度ごとの出来によって違ってきます。
ウリにしていた「歯切れのいい麺」や「もちっとしたパン」のはずが、次の年に同じように作っても、アレ…?という別物になってしまいます。
なので企業は必要な成分を数値で小麦粉を注文。
数値に合わせて様々な品種と産地の小麦がブレンドされ、そしてその頻繁な小麦の変更に、
企業:ラベルを対応していくのはコスト面で困難
消費者:企業が対応したらしたで、いつも変わる小麦の産地の表示に混乱
みたいなことを避けるためでもあります。
- 小麦粉は中間加工原材料
-
中間加工原材料(小麦粉)は、生鮮食品(小麦)を加工した別物の原材料になると考えられ、
「小麦を加工したなら責任は加工したところ。小麦の原産地はもう追えないし追わない」
みたいな扱いになります。

なるほどね。事情はわかった。
じゃあ、国産小麦の食品を選ぶには何を見たら良いの?
小麦粉は国産ならこう表示される!

国産小麦で作られた食品を確実に選ぶには、パッケージ中のどこかにある…

ありがたいですね 笑
ポイントは『100%』というところです。
と、いうのもこれまたひっかけみたいなもので…。
『国産小麦使用』だけだと、外国産小麦も混じっている可能性もあるのです。
(ちゃんと全量国産小麦を使っている場合もあるのですが)
例を見てみましょう
小麦製品の産地表示の実例
パンや麺など小麦製品の原材料欄の実例を見てみましょう。

パッケージ裏側の原材料欄をチェック!
例① 小麦粉(国内製造)
→国内で製粉された小麦粉を使用。
原料の小麦は『外国産』もしくは『国産』もしくは『外国産&国産』
例② 小麦粉(小麦(国産))
→原料の小麦は国産の割合が多い。
が、これだけだと国産100%かはわからない。
例③ 小麦粉(小麦(北海道産))
→原料の小麦は国産で北海道産の割合が多い。
おそらく北海道産をウリにしている、北海道産にこだわっているため、
全量北海道産小麦の可能性が高い。(絶対ではありません)
例④ 小麦粉(小麦(アメリカ産・カナダ産))
→原料の小麦はアメリカ産の割合が多く、次いでカナダ産
100%外国産。ちゃんと表示してくれているだけ潔い。
こんな感じです。
例③の国産の場合は、広く知られている地名での表示もOK。
例④の外国産の場合は、表示は国名のみになります。

国産小麦にこだわるなら、例②、③に加えて『国産小麦100%』をパッケージのどこかから探せば良いんだね!
パン屋さんなどで見分ける方法はない
パン屋さんやラーメン屋さんなど『対面での販売をしている専門店・外食店』では原材料や原産地の表示義務はありません。
ですが、同じように「国産小麦を使っているお店で買いたい!食べたい!」というこだわりをもった消費者はたくさんいます。

そんな専門店・外食店を見つけ出す裏技があります!
それは…
スマホであれば、アプリを開いて一番上の検索バーに
『パン屋 国産小麦』と検索してみましょう!
すると…

先人たちのありがたい口コミが検索ワードにひっかかり、ただの『パン屋』と検索するよりも簡単に探し出すことができますよ!
ただし、お店の公式HPに書いていないかぎり正確さには欠けますので、あとは直接来店してお店の方にたずねてみてくださいね。

私の住んでいるような小田舎でも、国産小麦使用のお店は意外とありますよ!
ただ、パンの種類によっては国産小麦が向いていなかったり、一番美味しいと感じ外国産小麦を採用していることだってもちろんあります。
(ですから国産小麦じゃないからこのパン屋さんは微妙〜とか、そういうことではないですよ!)
小麦粉の国産有機はかえって危ない!?


えー!いつもみたいに有機を選べば安心ってワケじゃないの…?

なるほど、赤カビの話ですね。色々単語が省略されていているのでひとつずつ確認してみましょう!
日本は小麦づくりにあまり適していない?
おっしゃるとおり、小麦はカビに汚染されやすく、小麦の開花時期に特に赤カビという病気にかかりやすいのです。
- 赤カビ病って何ですか?
-
赤カビ病は、人や家畜に有害なDONというカビ毒を生む作物の病気です。
赤カビには基準値が設けられており、2003年からはより厳しくなりました。(混入許容率は0.0%で、1000粒に1粒あれば規格外小麦となります)
さらに国内では2022年4月から、DONの基準値が1.0ppmとなり、これを超えた小麦は食品衛生上流通できないようになっています。
主な輸入先であるアメリカ・カナダは、多くが乾燥地帯で栽培されており、赤カビリスクは少ないです。
比べて日本は、開花時期の6月〜7月は梅雨時期と被っており、アメリカ・カナダに比べて確かに赤カビリスクは高めです。
なので梅雨時期でも比較的湿度がカラっとしている北海道は小麦農家も多いですね。
で、どうやら赤カビを防ぐには、化学合成農薬がてきめんらしい…。

そっか、有機栽培は化学合成農薬とか使えないんだもんね…
国産有機小麦を選ぶのはどうなの?
有機栽培では化学合成農薬が使えないからといって、なにも赤カビに無対策なわけではありません。
- 有機栽培で認められた農薬を組み合わせて防ぐ
- カビに強い品種に絞って育てる
- 土中を良い微生物や酵母菌でいっぱいにしておく
小麦収穫後の秋・冬の間に、土を米ぬかなどで発酵させ微生物や良い菌を増やし、赤カビが増える隙間をなくすという対策をしている有機農家さんもいるようです。
そして任意にはなりますが検査機関に出してから出荷し、安全を確かめている企業もたくさんあります。
有機農家さんは小麦に限らず、化学農薬・肥料を使えない分、その作物に一番合う方法を探し、毎年工夫して育ててくれていますよ。

ただし…実際問題…国産有機の小麦粉は高い…笑
国産で有機栽培の小麦粉は、仕方ないとはいえ価格は家庭用輸入小麦粉の3倍以上します…。
(私も毎回はちょっと手が出ないので、国産の薄力粉と特別栽培の国産強力粉を普段は使っています)
※ もしそれでも国産有機小麦のカビ毒が心配であれば、買わない選択をするか、長く販売しているところから買うか…判断してみてください。
まとめ

- 国内製造とは、日本で製粉された「MADE IN JAPAN」なだけで、「原産国:日本」ではない
- パッケージ裏側の原材料欄に、小麦粉(国内製造)と書かれている小麦製品はほぼ外国産と思っていい
- 商品の味や食感の安定のため、企業は頻繁に小麦の品種をブレンドするため国内製造という表示が都合が良い
- 国産小麦製品を選びたいときは、パッケージから「国産小麦100%」の文言を探そう
日本の小麦製品の8割以上は、外国産小麦でまかなわれています。
ですが私はポストハーベストの観点からも、慣行栽培の外国産小麦はおすすめしたくないです。
2025年現在では小麦の遺伝子組み換えは禁止ですが、小麦まで遺伝子組み換えの輸入がOKになってしまったらと思うと心配です…。
お家のお料理だけでも、小麦粉を選ぶとき国産を取り入れてみませんか?
国内製造は実は国産じゃないんだよ〜。いろいろな事情や隠したい裏側があるんだよ〜。ということだけでも覚えていってくださいね!
